あらすじ
禁断の庭
都会の片隅にある小さな地下室、そこにはいつも変わった植物が育っていた。隣に住む住人、佐藤はその植物に魅了され、毎日彼の庭を覗くのが日課だった。彼はいつかその植物の種を手に入れようと目論んでいたが、その植物の持ち主である中村は、特に警戒心が強く、誰にも種を分けようとはしなかった。
ある晩、佐藤は決心した。中村が寝静まった深夜、忍び足で中村の庭に侵入した。月明かりに照らされたその庭には、見たこともない奇妙な植物が生い茂っていた。佐藤が一つの種を摘み取ろうとしたその瞬間、後ろから中村の冷たい声が響いた。「物種は盗むとも、人種は盗まれず、だな。」驚いた佐藤は振り返ると、中村は満面の笑みを浮かべていた。
中村はそんな佐藤の様子を見て楽しむようだった。「君がその種を手に入れたところで、親の血筋は逃れられないよ。果たしてその植物が君によく似ているかどうか、見ものだな。」中村はそう言うと、佐藤を庭から追い出した。佐藤は怒りと恥ずかしさを抱えながら、自分の家に帰ったが、心の中では葛藤が渦巻いていた。
数週間後、佐藤が育てた種から生まれた植物は、確かに彼によく似た形をしていた。だが、その植物はどこか異様な雰囲気を放っていた。そして、隣人たちの間で噂になった。「佐藤は中村の奇妙な植物を盗んだ結果、自らの血筋を形作ってしまったのだ」と。善悪を超えたこの不条理な事態に、佐藤は自らの選択を恥じつつ笑うことしかできなかった。彼は今、盗みの代償として自らの血筋を晒すことになったのだ。

