あらすじ
故郷と死神
ある日、南の島に住む越鳥が、故郷を思い出して涙を流していた。彼は若いころ、色とりどりの花が咲く美しい南の枝で巣を作り、毎日を楽しく過ごしていた。しかし、時が経つにつれ、彼は北へ旅することに決めた。北には、思いもよらぬ美味しい果実があるという噂を聞きつけたのだ。
ところが、北風が吹くとうつろな馬が現れ、越鳥に向かって嘶きながら、「おい、オレの果実を取らないでくれ!」と叫んだ。越鳥は驚いて空に舞い上がり、馬の呪文が聞こえないふりをした。果実は確かに美味しそうだったが、馬の正体は何か不気味であることを越鳥は感じていた。
その後、越鳥は北の果実を食べても、心の底から満足できなかった。他の鳥たちが彼に「おいしい果実を見つけたのか?」と尋ねると、越鳥は「うーん、まぁまぁかな」と咄嗟に答えた。実際には、今も故郷の南の枝で過ごした日々を思い出しては、涙を流していたのだ。果実の味よりも、故郷の温もりを求めて、心の奥に痛みが広がっていた。
ある夜、越鳥はふとした瞬間、死神のような黒い影に出会った。「お前、故郷を忘れたのか? この旅は楽しいか?」と影は言った。越鳥は全てを悟り、笑いながらも涙を流した。「もし、果実が美味しすぎるなら、死神もきっと北で待っているのだろう」と。越鳥は、また南の枝を思い出し、未来へ向けた旅の終わりの始まりを感じた。


