あらすじ
水牛と唐辛子
ある村に住む貧しい農夫の太郎は、ついに念願の水牛を手に入れた。水牛は畑を耕す力強い相棒であり、彼にとっての宝物だった。ところが、ある日、水牛の調子が悪くなり、ついには力尽きてしまった。太郎は涙ながらに水牛を屠ることを決意した。
水牛の屠殺は村中に噂となり、多くの人々が集まってきた。太郎は水牛を屠る際に、村人たちにたっぷりの唐辛子を振りかけた。すると、村人たちは口々に「せっかくの食材なのに、そんなに唐辛子を惜しまなくてもいいのに」と不満を漏らした。でも太郎は冷静に言い返した。「水牛を屠ったら、唐辛子を惜しむな。これが最後の晩餐なんだから、気にせず食べてくれ!」
食事が始まると、村人たちは唐辛子たっぷりの水牛料理に舌鼓を打った。だが、唐辛子の刺激に耐えきれず、次々と村人たちは咳き込んで大騒ぎ。辛すぎてむせる者、鼻水を垂らす者、さらには涙を流しながら「お前は本当に幸せ者だ!」と太郎を羨む者までいた。水牛はこれで報われたのだろうか。
しかし、太郎はふと思った。これだけの騒ぎになったのだから、きっと村の話題になるだろう。すると、少なくとも水牛も、唐辛子も無駄にはならなかったのだと。彼は心の中でほくそ笑みながら、次回の農作業に備えて新しい水牛を探す旅に出ることに決めた。大きな決断をしたのだから、小さなことでケチってはいけない、ということを改めて胸に刻んだのだった。



