あらすじ
風邪をひくことの喜び
ある町に、働き者の職人たちが住んでいました。彼らは毎日、朝から晩まで忙しく働き詰めで、休む暇もありませんでした。特に、町一番の腕前を誇る大工の太郎は、誰よりも働き者で知られ、周囲から尊敬を集めていました。しかし、太郎には一つの悩みがありました。それは、休みたいと思っても、なかなか休むことができないことでした。
ある日のこと、太郎は古いおばあさんに出会いました。おばあさんは、「季節の変わり目には風邪に気をつけなさい」と忠告しました。太郎は笑いながら、「風邪をひいたら休めるから、むしろ風邪を買ってもいいくらいだ」と冗談を言いました。すると、おばあさんは「それなら、少し無理をして風邪をひいてみたら?」と微笑み返しました。
その言葉が頭をぐるぐる回り、太郎は思いつきました。彼は自分の中にある「本当の休み」を追い求め、少し無理をすることにしました。そして、数日後、見事に風邪をひいてしまったのです。熱にうなされ、咳が止まらず、彼はまるで公然と休める待望の「病人」となりました。太郎は初めて心からの休息を楽しみ、家でひたすら寝ることができました。
しかし、風邪による休みを楽しむ中で、太郎は気づきました。その間、彼の腕前の認知は一時的に低下し、他の職人たちが彼の仕事を奪ってしまったのです。風邪をひいたおかげで運良く休めたはずが、逆に彼の地位は危うくなりました。「節季の風邪は買ってもひけ」ということわざの意味を痛感しながら、彼は再び働き者に戻ることを誓いました。知恵を使い、たまには心の休息も大切だと感じるのでした。




