あらすじ
一犬影に吠ゆれば百犬声に吠ゆ
ある小さな村に暮らす犬の中で、特におしゃべりで自信満々な犬、名を「ボン」がいました。ボンは村一番の威勢のいい犬で、彼の存在は他の犬たちにとってアイドルのようなものでした。しかし、ボンには一つの悩みがありました。彼には見えない悪霊が住んでいると、誰かに言われたことがあったのです。
ある晴れた日の午後、ボンは村を散歩していると、影がふと目に入りました。その影は黒く大きく、彼の周りをうろついていました。「これは間違いなく悪霊だ!」と、ボンは心の中で叫びます。ボンはおもむろに吠え始めました。「わんわん!悪霊がいるぞー!」
その瞬間、ボンの存在を知っている他の犬たちが次々と集まってきました。「悪霊、悪霊!」と一斉に吠え出す犬たち。村中に響き渡る犬の声。まるで村全員が悪霊の存在を信じているかのように、犬たちは無駄に恐れを抱き続けました。
結局、村の犬たちは毎晩、恐る恐るボンの周りで集まり、「悪霊から村を守るための会議」と称して吠え続けました。しかし、ボンが影を見てから一年が経った頃、村の人間たちは彼らの行動に気付き始めました。「まさか、あれが悪霊なんて、ただの影じゃないか」と笑いながら言いますが、すでに犬たちの間ではその影の存在が不動の真実となり、ボンが吠える度に、村の犬たちはますます同調して吠え続けるのでした。
こうして、ボンは影とともに村の伝説となり、一匹の犬が影に吠えただけで、百匹の犬が声を重ねる不毛なムーブメントは永遠に続いていくのでした。それは、まさに「一犬影に吠ゆれば百犬声に吠ゆ」の教訓を、不気味なユーモアとして村に残したのでした。














