あらすじ
上り大名と下り乞食の不思議な旅
昔々、ある小さな村にトラジという名の若者が住んでいました。彼は大名の家に仕えるお付きの者であり、毎年の京へのお参りを心待ちにしていました。今年もまた、大名の命令を受けて、京への旅に出発することになりました。トラジは、出発の朝に自分の手拭いを見つめ、「上り大名、さあ行くぞ!」と声に出して意気揚々と家を後にしました。
京への道中、トラジは大名の名に恥じぬように、見栄を張って遊郭で豪華な食事を楽しんだり、綺麗な着物を選んだりしました。しかし、旅費が尽きることは彼には知る由もなく、心は浮かれまくっていました。彼は「どうせ帰りはしっかりと貯金をするさ!」と楽観的に考えていたのです。
しかし、京でのお祭りが予想以上に楽しく、トラジはついに全ての持ち物を使い果たしてしまいました。金も着物も全て消え、残されたのは手拭いと少しの飴玉だけ。帰りは味気ない道を一人歩きながら、「上り大名、下り乞食」と笑いながらつぶやきました。周りの人々は彼の境遇を見て困惑しつつも、彼の明るい態度に少し笑顔を浮かべました。
村に帰り着くと、トラジは村人たちに京の話をしながら、大家族の食卓を囲み、皆で持って帰った飴玉を分け合いました。「旅は楽しまなきゃ意味がない!」と語るトラジに、村人たちは笑いをこらえつつも、彼の無邪気さを心から楽しみました。こうして、愉快な上り大名と下り乞食の物語は、村中に広まり、いつの間にか人々の心に残る名言となりました。
