好事も無きに如かず
こうじもなきにしかず

意味

2024/10/5(土)

人生は平穏であるほうがよいということ。

あらすじ

黒い平穏

ある町に住む平賀は、地味で控えめな商売をしていた。小さな雑貨店を営む彼の日常は、戦争や犯罪とは無縁で、平穏そのものだった。しかし、平賀はそんな日々に満足できず、心のどこかで変化を求めていた。ある日、彼は町外れの怪しい店で一冊の本を見つけた。それは「運を引き寄せる魔法のレシピ」と題されたもので、平賀は興味津々で購入した。

本を読み進めるうちに、平賀は「幸運を手に入れたいなら、まずは周囲に不幸を撒き散らせ」といった内容に目が留まる。半信半疑で始めた彼の不幸祈願は、次第にエスカレートしていく。友人のビールに毒を混ぜたり、通行人の靴を隠したりして、彼は「運が良くなる」と信じ続けた。そして、気が付いたときには、町は不穏な雰囲気に包まれていた。

ところが、平賀に幸運が訪れることはなかった。彼の行動は次第に周囲の人々を不幸にし、彼自身にも次々と災難が降りかかる。滑りやすい道で転んで骨折したり、誤って自店舗の商品を壊してしまったり。町の人々は彼を避け、孤独の中で苦しむことになる。結局、彼は「好事も無きに如かず」ということわざの真髄を思い知らされる。

最後には、平賀はその雑貨店さえも閉める羽目になった。彼は暗い道を歩きながら「やはり平穏が一番良い」と呟いた。だが、彼の心には数々の不幸の思い出が、今も消えない影を落としていた。心の底から平穏を求める彼は、本を手に入れた時に知っていたはずのことを、自らの手で忘れてしまったのだった。


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