あらすじ
恋は無情の種
田中は、恋愛に対していつも楽観的だった。彼は「恋は無情の種」ということわざを知っているが、それをジョークに変えることが得意だった。ある日、彼は新しい恋人の美咲にプロポーズすることを決意する。公園のベンチで手作りのケーキをつまみながら、彼は真剣な表情で言った。「美咲、君と一緒にいると、まるで花が咲くような気持ちだ。だから、僕たちも種をまこう!」
美咲は田中の言葉に少し考え込み、やがて微笑んだ。「でも、田中くん、種をまくってことは、いつか花が枯れるってことも意味するよね?」この一言が、田中の心に重くのしかかる。その後、彼は彼女に呪いがかかっているかのように、次々に失敗を重ねる。デートの場所を間違えたり、サプライズプレゼントが郵便で届かなかったり、挙句の果てには美咲の猫に手を噛まれたりした。
ついにある晩、美咲が田中の元を訪れ、「田中くん、私たちの関係はまるで無情の種みたい。どうしても育たない気がするの」と真剣な眼差しで告げた。田中は冷静を装いながら心の中で笑う。「まあ、確かに恋は無情の種だが、間違って選んだ花が悪いんじゃないのか?」と。
美咲は彼の言葉に驚き、笑いながらその場を去る。田中はその後も一人、公園でケーキの残りを食べつつ、「恋は無情の種」と自嘲的に呟く。恋の先に待つは悲しみか、それとも新たな芽の成長なのか。今のところ、彼はただその無情な種を蒔き続けるしかなかった。




