あらすじ
甲州の着倒れ、信州の食い倒れ
ある日、甲州の町に住む着道楽の老婆、梅子は最新の着物を手に入れた。その着物は金糸の刺繍が施されており、誰もが目を惹く代物だった。梅子はその着物を着て自慢げに町を歩き回ったが、実はその着物を買うために貯金を全部崩してしまっていた。周囲の人々からは「なんて素敵な着物!」と賛美の声が上がるが、梅子は心の中で「これが最後の贅沢かもしれない」という不安に苛まれていた。
そのころ、隣町の信州では、食い道楽の男、太郎が腕によりをかけて作った料理が話題になっていた。彼の作る味噌汁には、地元で捕れた新鮮な魚と、野菜がたっぷり入っており、町の人々はこぞってその味を楽しみにしていた。しかし、太郎もまたその料理に対してすべての財産を注ぎ込んでおり、実は彼の家の冷蔵庫は空っぽだった。何も食べられない自分を恥じるあまり、彼はますます料理に没頭していく。
梅子と太郎の噂は遠くの町にも広まり、ある日、二人は偶然出会う。梅子は太郎の作る料理の話を聞き、貧乏になった自分を自嘲するが、太郎もまた「着物のために財布が空っぽだ」と告白する。二人はそれぞれ自分の道楽がいかに無意味かを痛感し、笑い合った。「俺たち、まるで絵に描いた餅みたいだな」と太郎が言うと、梅子は「そうね、着物を着たまま餓え死にするなんて、まさにおぞましい絵本のようだわ」と答えた。
その後、梅子は自分の着物を道端で売り始め、太郎は料理教室を開いて新しい収入源を見つけた。二人は互いの失敗から学び、甲州と信州の相互扶助を結成する。「着物を貧乏に着倒れ、食い道楽に食い倒れ」と、自らを笑い飛ばしながら、人々に教訓を広めることにしたのだ。こうして、彼らのコミカルな人生は続いていくが、果たして真の豊かさとは何かを知る旅は始まったばかりだった。




