弘法筆を択ばず
こうぼうふでをえらばず

意味

2024/10/5(土)

1.弘法大師のように書に優れている者なら筆の善し悪しは関係ないという意味。
2.一般化して、技量が優れていれば道具に左右されないの意。
猥画を書けというのだが、絵の道具がないからと断ると、それは困ったな、弘法は筆を選ぶと言って、商売人は絵筆のギンミ又厳重だと言うから、コチトラの筆じゃア埓があくめいな、と至極物分りのよい独り言をもらして、どうだい、之は、え、筆は立つかね、なにさ、文章は書けるかってことさ。(坂口安吾『二十一』 元の句の諧謔例)
3.達人の域に達すればどのような状況でも失敗しないの意。
4.転じて、自分の技量の不足を道具の所為にしてはならない、更には、失敗を周りの環境の所為にしてはならないという戒め。

あらすじ

弘法筆を択ばずの村

昔々、ある小さな村に、絵を描くことに情熱を傾ける若者、タロウがいました。タロウは自分が進む道を見つけるため、数々の道具を試しましたが、なかなか自分の思い描く絵を描くことができませんでした。彼はいつも「この筆が悪いからだ」「この絵の具が悪い」と嘆いていました。

ある日、村にやってきた老画家、ジロウはタロウの愚痴を聞いて笑いました。「若者よ、弘法筆を択ばずだ。優れた者は道具を選ばずとも素晴らしい作品を作れるのだ」と言います。タロウはこの言葉に反発し、「では、あなたがこの筆を使ってみてください!」と挑戦状を叩きつけました。ジロウはにっこり笑いながら引き受け、古びた筆を手に取ります。

ジロウはタロウの前で、粗末な道具を使いながら瞬時に美しい絵を描き上げました。村人たちは驚き、タロウは悔しさと羞恥に顔を赤らめました。しかし、ジロウは言いました。「見なさい、タロウ。技の真髄は道具にあるのではない。自分の内にあるものを信じ、表現することが大切なのだ」と。タロウは心に響く言葉を受け止めました。

その日以来、タロウは道具のせいにするのをやめ、自分の技術を磨くことに専念しました。彼は村の仲間たちと共に絵の練習を続け、様々なスタイルに挑戦しました。そして数年後、タロウはすっかりと腕を上げ、村で一番の絵描きとなるのでした。彼はジロウのおかげで、道具に頼らずとも自分の力で勝負できることを知ったのです。村の人々はやがて、「弘法筆を択ばず」という言葉を彼の名と共に語り継ぐようになったのでした。


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