あらすじ
弘法筆を択ばずの村
昔々、ある小さな村に、絵を描くことに情熱を傾ける若者、タロウがいました。タロウは自分が進む道を見つけるため、数々の道具を試しましたが、なかなか自分の思い描く絵を描くことができませんでした。彼はいつも「この筆が悪いからだ」「この絵の具が悪い」と嘆いていました。
ある日、村にやってきた老画家、ジロウはタロウの愚痴を聞いて笑いました。「若者よ、弘法筆を択ばずだ。優れた者は道具を選ばずとも素晴らしい作品を作れるのだ」と言います。タロウはこの言葉に反発し、「では、あなたがこの筆を使ってみてください!」と挑戦状を叩きつけました。ジロウはにっこり笑いながら引き受け、古びた筆を手に取ります。
ジロウはタロウの前で、粗末な道具を使いながら瞬時に美しい絵を描き上げました。村人たちは驚き、タロウは悔しさと羞恥に顔を赤らめました。しかし、ジロウは言いました。「見なさい、タロウ。技の真髄は道具にあるのではない。自分の内にあるものを信じ、表現することが大切なのだ」と。タロウは心に響く言葉を受け止めました。
その日以来、タロウは道具のせいにするのをやめ、自分の技術を磨くことに専念しました。彼は村の仲間たちと共に絵の練習を続け、様々なスタイルに挑戦しました。そして数年後、タロウはすっかりと腕を上げ、村で一番の絵描きとなるのでした。彼はジロウのおかげで、道具に頼らずとも自分の力で勝負できることを知ったのです。村の人々はやがて、「弘法筆を択ばず」という言葉を彼の名と共に語り継ぐようになったのでした。




