あらすじ
得たり賢しの逆襲
ある町に住むシンジは、いつも運が悪いことで有名だった。宝くじを買えば必ず外れ、飼っている猫も他人の家にばかり遊びに行く。しかし、ある日、彼は見慣れぬ古びた壺を公園で見つけた。この壺が彼の運命を変えるとは、彼自身も思っていなかったのだ。
壺を家に持ち帰ったシンジは、その壺を無意識に指でなぞった。すると、壺から煙が立ち上がり、中から幽霊のような存在が現れた。「おお、運命の壺よ!私は運を授ける者、願いを一つかなえてやろう!」と、幽霊は言った。シンジは考えた末に「そうだ、毎日ラッキーな日が訪れますように!」と願った。
その日から、シンジは信じられないほどのラッキー続きに見舞われた。仕事でも同僚が彼の失敗をかばってくれたり、飲み会ではなぜか自分だけが大当たりしたり。町中の人々が彼を羨み、ついには「シンジは幸運の王」と呼ばれるようになった。しかし、彼の日常は次第に異様なものとなり、彼の周りでは次々に不幸が起こり始めた。家族が事故に遭ったり、友人が失業したりと、彼の幸運の影響で周りが不運に見舞われていく様子は、まさにブラックユーモアのようだった。
シンジは気づいた。「得たり賢し」とは、他人の幸せを犠牲にして自分だけが幸せになることではないと。彼は幽霊に再び会い、泣きながらこう言った。「運はもういらない!周りの人を不幸にするくらいなら、マイナスの運の方がずっと良い!」幽霊はほくそ笑みながら、ふっと消えていった。シンジの幸運は確かに消えた。しかし、それは彼が心から求めていたことだったのかもしれない。


