あらすじ
用に叶えば宝なり
ある日、町に住む貧しい男・山田は、商売繁盛を願いながら毎日生きていた。彼の店はボロボロで、売られているものは全てが古くて汚い。しかし、山田はその中にある「特別な何か」を感じていた。それは彼が毎日使っている、サビだらけのナイフであった。彼はこのナイフでお客を迎えるたびに、「この刀で切られたものには、運がある!」と叫ぶことにした。
市場の日、山田はそのナイフを持って、世にも不気味なパフォーマンスを始めた。周りの人々は興味を持ち始め、彼の不気味な売り文句に引き寄せられていく。「このナイフで切った食材は、必ず運をもたらす!」山田は、自分の店前で野菜を切りながら、まるで手品のように大騒ぎした。人々は笑いながらも、「本当に効果があるのだろうか?」と疑問を抱きつつ、そのナイフを手に取ってみた。
その日、彼の店はなぜか大賑わいとなった。しかし、運が良いとされる食材は、クモやゴキブリに取り囲まれた残飯ばかりだった。それでも、山田の奇妙なカリスマ性に影響され、多くの客は「運を試す」と言いながら、その不衛生な食材を購入していった。料理するたびに、「おいおい、本当に運が来るのかな?」と何度も疑念を抱く客たち。しかし、運を求める人々は、彼のナイフの「魔法」にすがりついていた。
結局、山田は金ではなく、不思議な「運」を商って成功を収めることとなった。彼は毎晩、古いナイフを磨きながら笑った。「このナイフは、新しい運を切り開く宝物だ」と。町の人々は彼の不便な商法を絶賛し、実際に運を手に入れたような気分になっていた。「用に叶えば宝なり」とはまさにこのこと。時には、不気味なものが人の希望を支えることもあるのだ。


