あらすじ
逃げることの美学
ある小さな村に、カメという名の若者が住んでいました。カメはいつも怠け者で、自分の目の前にある仕事や問題から逃げることを得意としていました。彼の村には、村人たちが頑張って働き、立派な家や畑を作っている中、カメは毎日日向で寝そべり、雲を眺めることを楽しんでいました。この生活を続けるうちに、彼は「三十六計逃げるに如かず」という言葉を耳にしました。
ある日、村に大きな祭りが近づいてきました。村人たちは祭りの準備に忙しく動き回り、特にカメはその騒がしさを避けるため、森に逃げ込むことにしました。「この祭りの準備が終わるまで、静かに隠れていよう」と考えたのです。森の奥でカメはリラックスし、同じように逃げ込んだ動物たちと共に、ごろごろと昼寝を楽しみました。
祭りの日、村では見事な衣装や料理が用意され、多くの村人が集まりました。しかし、主役のカメがいないため、彼の欠席が話題になりました。「あの怠け者のカメも、きっと逃げただろう」と村人たちは笑いながら彼のことを詮索します。ところが、カメは森でのんびりと過ごすうちに、村人たちが集う中心であることが何よりも重要だと気づかずにいました。
数日後、村が静まった時、カメは意を決して村に戻りました。しかし、村人たちは彼に何も興味を示さず、代わりにその時の盛り上がりや楽しさを話し続けました。カメは逃げることが最良の策だと信じていたのに、自分の居場所を失っていることに気づくのでした。「三十六計逃げるに如かず」とは、時には逃げることが必要でも、逃げすぎると大事なものを失ってしまうということを、カメは身をもって学んだのでした。



