あらすじ
旅の無駄遣い
江戸の街では、若い商人の太郎が身一つで旅に出ることになった。彼の心には、楽しみと贅沢な食事、そして恋の花咲く場所への期待が膨らんでいた。しかし、今は何も持たず、富を夢見ながら家を後にしたのだ。出発して早々、目にしたのは色とりどりの屋台で並ぶ美味しそうな料理や、煌びやかな逸品の数々だった。
太郎は自分の財布の中身など気にせず、どんどんお金を使っていった。高価な酒を酌み交わし、良い着物を手に入れて、舞妓さんを呼び寄せては楽しんだ。周りの友人たちは口を揃えて「おい、そんな無駄遣いをして大丈夫か?」と心配するが、太郎は笑顔で「心配ない、帰ったら商売が繁盛するから!」と豪語したのであった。
しかし、旅が終わりに近づくと、太郎にはお金がまったく残っていなかった。「どうしよう、これでは帰れない」と顔色が青ざめた。彼は周囲に助けを求めるも、誰も彼の無謀さを理解してはくれなかった。そして、ついに乞食のような格好をして帰路につくことになった。彼の心には、楽しかった思い出とともに、自分の無計画さへの後悔が残った。
帰り道、太郎の姿を見た江戸の人々は、彼の豪遊ぶりを知っているだけに大いに笑った。「これが江戸っ子の典型だ!」と噂される中、太郎は「次こそは計画的に」と誓ったが、どこか心の隅にはまた翌年の旅への期待が潜んでいた。それが江戸っ子の真骨頂であり、彼らの旅の魅力でもあったのだ。


