あらすじ
能書筆を択ばず - 悪筆の作家
むかし、ある小さな町に、「書道家」と名乗る男が住んでいました。彼は自称筆の名人で、どんな風景や心情も美しい字で表現できると自負していました。しかし、実は彼の字は尋常ではなく、まるで犬が足で描いたかのような崩れた文字だったのです。ただ、彼は自分の字を良いものだと信じ込んでいました。
ある日、その町の祭りで書道コンテストが開かれることになりました。書道家はこの機会を逃すまいと意気込んで参加することにしました。彼は評判を気にせず、古びた筆を手に取り、力強く字を走らせました。しかし、結果は予想通り、観衆からは笑い声が上がり、審査員たちも眉をひそめるばかりでした。
それにもかかわらず、書道家は全く気にせず、自らの作品を称賛し続けました。「能書筆を択ばず」と言って、どんな筆でも名作が生まれる強い信念を掲げていました。彼は周りの批判を耳にせず、脳内では自分が真の芸術家であることを信じて疑わなかったのです。
しかし、町の人々は次第に彼の存在を面白おかしく見るようになりました。書道家の名前は有名になり、彼の作品も人気を集めました。果たして彼は、悪筆でもその情熱と信念で人々を魅了する存在となったのです。彼の言葉は町の名言となり、真の才能とは何かを示す教訓として語り継がれていきました。
