あらすじ
産屋の風邪
ある小さな村には、伝説的な産婆の「おばあさん佐知」がいました。彼女はその卓越した技術で無数の赤ちゃんをこの世に送り出してきましたが、実はもう一つの「特技」がありました。それは、赤ちゃんに「風邪」をひかせること。村では「おばあさん佐知に産んでもらうと、一生風邪をひく」と恐れられ、子供を持つことに慎重になる親たちの間で語り草になっていました。
そんなある日、村に住む若い夫婦が、初めての子供を授かりました。彼らはおばあさん佐知の噂を耳にしていましたが、勇気を出して彼女を呼ぶことにしました。おばあさん佐知が家に入ると、彼女の存在感は圧倒的でした。夫婦は少し不安な気持ちを胸に隠しながら、無事に出産を終えることを祈っていました。
しかし、出産の瞬間が訪れると、予期せぬ事態が起こりました。おばあさん佐知が赤ちゃんを取り上げた瞬間、彼女は赤ちゃんに向かって風邪を引かせるかのような不気味な笑みを浮かべました。夫婦はその様子に凍り付いてしまいます。「これで一生風邪をひきやすくなったな」佐知が言ったのは、まるで冗談のようでしたが、それは真実を示唆していました。
それから数年後、赤ちゃんはすくすく成長しましたが、やはり風邪をひくことが多く、気管の弱さに悩まされることになりました。村では、「さあ、次はお前たちの番だ。おばあさん佐知に頼んだら、風邪の心配がついてくるぞ」と笑い飛ばされるように。夫婦は何度も後悔しましたが、笑い声の中、彼らは「これが生きるということだ!」と不気味なユーモアを受け入れるのでした。




