あらすじ
糠に釘と無駄な努力
ある町に住む青年、タケルは夢を追いかけるために上京した。しかし、彼の目指す職業は、誰もが「そんなことは無理だ」と笑う劇作家だった。毎日、彼は自作の劇を持ってオーディションを受けに行くのだが、結果はいつも「糠に釘」。彼の情熱には、誰もが無関心だった。
ある日、タケルは自作の劇を有名な演出家に見てもらうチャンスを得る。彼は緊張しながらも意気込み、劇のパンフレットを手に演出家の前で熱弁を振るう。しかし、演出家はタケルの話を聞きながら、明らかに別のことを考えていた。タケルが「これが私の運命の一作です!」と叫ぶと、演出家は呆れてため息をつき、「その情熱は糠に釘だね」と冷たく一言返した。
落胆しつつも、タケルはさらに頑張ることに決めた。彼は毎晩、自分の劇を公園で上演することにした。最初は通りがかりの猫や犬すら無視する中、彼は何度も舞台をこなした。しかし、誰も観客にならず、タケルの声は風に流されるだけ。彼は自作のセリフを唱え続け、まるで糠に釘を打つような無駄な努力を続けていた。
数ヶ月後、タケルはついに一人の観客を得る。その男は演歌歌手で、タケルの劇を見て大笑いし、感想を述べた。「君の劇は、まるでトイレットペーパーの芯のようだ。回り道が多くて、役に立たない。でも、見ていて面白いからまた来るよ!」タケルは心の中で「お前も糠に釘だ」と思いつつも、自分の芸が誰かに笑いをもたらすことに安堵し、彼の無駄な努力は無駄ではなかったのかもしれないと少し微笑んだ。
